5分でわかる経理・財務業務(売掛金管理 #2)

今回は「5分でわかる経理・財務業務(売掛金管理 #2)」というタイトルで、売掛債権管理の大きな流れを前回に引き続き解説します。

はじめに:ERP内の経理・財務業務

ヒト・モノ・カネ・資源をまとめて管理し有効活用する考え、またそのシステムをERPといいます。ERPとは「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」の頭文字です。
前回のコラムはERPの「経理・財務」についての基本「売掛金管理方法について」解説しました。今回は前回の続きをお届けします。ERPの経理や財務についてはビジネスにおいて最も重要な部分なのでぜひ最後までご一読ください。

売掛債権管理 #2

売掛金や貸付金の債権を管理することを売掛債権管理といいます。商品・サービスの提供後、代金の支払いを顧客から受ける権利で、会計上は資産となります。が未回収のまま残っている状態を「売掛債権」といい、提供した会社が「請求できる債権」を持ちます。

プロセスマップ


前回は「売上業務」の解説でした。今回は「債権残高管理」「滞留債権管理」「値引・割戻」の解説をします。

業務マップ

売上業務は基本的に毎日活動が行われています。今回は月次の締処理業務にあたる部分を解説します。

債権残高管理は「顧客別債権管理」と「期日別債権管理」の二つに分けられます。

1. 顧客別元帳管理

「顧客別元帳管理」は簿記で「得意先元帳管理」にあたるものです。「債権回収状況管理」で債権が回収できているかを確認します。「顧客別元帳管理」「債権残高確認準備」「債権残高確認実行」「確認証回収」「債権回収状況管理」の順に進めます。

「債権残高確認準備」業務内の「残高確認」は二つの意味を持ちます。「残高を確認」と、「自社債権残高と取引先の債務残高の相違を確認」が該当し、会計監査で必ず実施されるものとなっています。

2. 期日別債権管理

「期日別債権管理」業務内の「債権回収日数算定」は「売上債権回転期間」、DSO(Days Sales Outstanding)とも呼ばれます。こちらは用語として覚えておくことを推奨します。
「期日別残高報告」の「期日別残高」では「年齢表(または年齢調べ表)」が使用されます。

3. 滞留債権対応

「売上計上」は、商品やサービスの提供・販売により得た収益を帳簿で勘定することをいいます。「売上事実確認」を行います。計上基準を設けることでタイミングを一定にします。売上計上基準には「出荷基準」「着荷基準」「検収基準」などがあります。
実際に滞留している売掛債権がどれくらいあるか確認します。「滞留債権」は「遅れているだけで後から回収することが可能だと見込まれる債権」を指します。これに対して「不良債権」は「回収が不可能だと見込まれる債権」を指します。
回収が見込まれないものは、経理部門で「貸倒引当金」として計上します。「貸倒引当金」は、「将来、売掛金や貸付金などが回収できなくなってしまう事態に備えて、あらかじめ見積を当期に費用計上しておくもの」です。会社ごとに「合理的な計算」に基づく繰入率が採用されています。

参考:
貸倒引当金の繰入限度額は、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権とに区分して計算することとされています。
貸倒引当金の設定対象事業年度末の一括評価金銭債権の帳簿価額に、過去3年間の貸倒損失発生額に基づく実績繰入率を乗じて計算します。

繰入限度額 = 期末一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額 × 貸倒実績率(注)

国税庁HPより引用
No.5501 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定|国税庁 (nta.go.jp)

4. 値引・割戻

「値引」は「取引時に単価・金額を差し引く」こと、「割戻」は「取引後に単価・金額を差し引く」ことを指します。「割戻」は「後値引・リベート」とも言われます。
例をあげると「一月に商品1,000個購入の場合ボリュームディスカウントを実施します」のように使用されます。トータル数量が後でしか計算できない場合に利用します。

5. 支払

「値引」は「売掛金計上時に純額計上されるか、マイナス金額で計上される為、支払は発生しない」ことになります。「割戻」は「売掛債権と相殺する前提で次回の請求書にマイナス金額で計上されるか、割戻金額をそのまま支払う場合がある」とされます。
契約通りに値引きが行われているか確認することが大切です。

まとめ

前回から引き継ぎ細分化し売上債権管理業務について解説しました。前回は「売上業務」に注目しましたが、今回はその後の流れ「債権残高管理」「滞留債権対応」「値引き・割戻」を説明しました。
ERP事業部で行う会計関連の勉強会では、経理・財務業務の基礎を学びます。お客様の月次や年次での決算業務に携わるので、業務把握のためにより高度な知識が必要になります。基礎を学んだ後、現場での業務に着手する流れとなるため参加者は集中して勉強会にのぞみます。経理・財務業務勉強会は高度な知識を持つベテランが講師をつとめ、スキルの高いメンバーが学び合う場となっています。ここでの勉強会をベースに知見を蓄えた技術者は、お客様の業務課題、IT課題の解決に貢献します。

おまけ

ERPとはEnterprise Resource Planningであり、本来は”企業のリソースの最適配置”という概念です。 その中でも最も重要なリソースは”ヒト”であるとADXは認識しています。ヒトを、お客様の業務課題を解決するスペシャリストに育てる場であると自負しています。
ADX Consultingは企業の経営力を最大限向上させるため、ERPを用いたバックオフィスのDXを推進しています。インテグレーションやデータの利活用をはじめお客様の要望をお客様専門チームが高い技術力をもって実現いたします。またOracle ERP Cloudの公式パートナーとして数多くのスペシャリストが在籍しておりますが、日々技術力を高めるために資格取得にも力をいれています。
無料のご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら

最近の記事

PAGE TOP