弊社のERP/EPM事業部初のプロダクトである「Madis」について紹介します。MadisはOracle Cloud ERPセットアップを正確かつ効率的な実施を目的として開発されたツールです。今回は、Madisの使用ケースを説明いたします。 Madisはオラクルコーポレーション主催の「2023 Oracle Partner Awards」において、「2023 Oracle Japan Apps/SaaS Partner Award Innovation」を受賞しました。「2023 Oracle Partner Awards」は、優れたイノベーション、起業精神にあふれた成功、顧客への献身の実績を持つパートナーをたたえるものであり、弊社では初の受賞となります。
導入支援プロジェクトでの土台作りから設定値の決定まで
弊社ではOracle Fusion Cloud ERPの導入において、Fit to Standardという方法論を使用したスムーズな導入を心がけています。Fit to Standardについては以下のコラムをご参照ください。
https://erp.adxc.co.jp/column/oracle-erp-oci/
Fit to Standardを実現するため、実機を利用してERPの標準機能がお客様の業務と適合できるかの確認、CRP(Conference Room Pilot)を行います。機能紹介だけでなく、ヒアリング結果に基づいた環境の設定を行い、実業務を行う際に「どのタイミングでどの機能を使用するか」という業務運用の視点をお客様と共有しながら進めます。
CRPを行うためには実機の用意が必要です。その際に活躍するのがMadisです。CRP用の環境セットアップの反映はどうしても時間との勝負になります。基本的にERPへのセットアップは画面への入力作業となります。このような入力作業についてはERPベンダーのほとんどが人員増加でカバーしています。そのような環境下で、Madisは、「設定作業の正確性の担保」「工数削減によるコンサルティングの向上」を実現しました。
Madisは、「ヒアリング結果に基づいて作成されたセットアップ定義書からCSVを生成」し、「ツールに取り込む」ことが可能です。この機能により必要なデータを「Oracle ERP Fusion Cloudに取り込む」ことができます。それまでにかかったプロジェクト全体の約53.3%の作業工数を削減でき(※1)、かつ、セットアップ定義書で定義した値をそのまま取り込むことで正確性も担保できます。人員増加による手入力がなくなる効果が数字に表れています。
※1 弊社プロジェクトの事例
図1. Madisを用いてのセットアップの流れ
MadisはCRP前のみならず、CRP時のフィードバック結果を環境へ反映させるための更新処理も実装しています(※2)。 CRP前の環境準備からスタートして土台を作り、CRP後の環境への結果反映、システムテストで別の環境へのセットアップでセットアップ値を決定させ、本番環境へのセットアップまで、様々なタイミングでプロジェクトとともに歩み、活躍します。
※2 機能によっては更新が実装されていないタスクあり
図2. Madisの使用フェーズ
子会社およびグループ会社へのモデル展開
前述のケースではMadisは「活躍」すると説明しました。次に「大活躍」するケースをご紹介します。基幹システムの入替のタイミングにおいて、よく検討される内容ですが「グループ会社内での経営シナジーを図るため、同一の基幹システムをグループ内で使用する」ことがあげられます。
その時、あらかじめモデル化を行い他のグループ会社や子会社に展開する手法が検討されます。
ERPモデルが確立すると、あとは詳細の会社別の固有情報のみ変更することでセットアップ作業の開始ができます。その際、またここで発生するのが作業工数問題です。同じタイミングで一気に複数会社に導入する際、セットアップするための作業工数を費やさなければなりません。
そこで、「大活躍」するのがMadisです。あらかじめモデル化した会社のセットアップ定義書を基に、各グループ会社の固有情報に変更し、会社別の設定ではなく、まとめてMadisからセットアップすることができます。もちろん、部分的にしか導入しない場合は、対象のモジュールやタスクを選んで取り込みを行えば問題ありません。
図3. 子会社展開のモデル
今までのやり方は会社単位での導入予定が必須でした。Madisの使用を前提にすると、導入予定計画を事業領域別や使用するモジュール別など、分類化することが可能となり、精度が高く、かつ作業工数がかからない内容で計画を立案することができます。
図4. 子会社展開のスケジュール
システム化することで業務内容をERP Cloudへの機能に落とし込みモデル化するファンクション・コンサルティングに集中することが可能です。工数を減らし、質を高める、最高なかたちでモデル展開が実現できるのです。
セットアップの手順化もしていますので、プロジェクトメンバーのみならず、お客様自身で「セットアップ」を行うこともできます。Madisを通じて、セットアップを行うことを機に、Oracle Fusion Cloudについてもっと深く知りたい!というようなことも期待でき、業務視点だけでなく、システム視点でできることを理解していただくことで、Fit to Standardにより近づくことができます。
Fusion Cloudをもっと知りたいときのサポートツール
最後にご紹介するのは「Oracle Fusion Cloud ERPを知る!」を手助けするケースです。弊社では新入社員研修で、特定モジュールの業務フローやデータ間の関係性を理解するために、実機で主要のトランザクションデータの登録を行います。
登録するだけではありません。裏側の仕組みも理解するために、自分の「会社」をERPにセットアップしたうえで、実機操作を行います。Oracle University(※3)や社内の教材を活用しながら、Madisを通じて、デモ環境をセットアップします。
※3 Oracle社が提供している関連製品の使い方や仕様を学ぶことができるプラットフォーム
Madisを使用することで、セットアップ定義書から環境へ設定値が取り込まれるまでの一連の流れを把握でき、タスクの順番を意識することでデータの関係性の理解にもつながります。
なにより、一通りの主要モジュールのセットアップを研修で経験することでプロジェクトに参画する際の自信にもつながります。
以上、実際に弊社導入案件でMadisが活躍した場面のご紹介でした。プロジェクトにおいての課題解決や効率化だけでなく、私もMadisのようにいろいろな場面で活躍できるようにこれからも精進していきたいです。Madisに興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
Oracle CloudWorld Tour Tokyoに出展
当社は、2024年4月18日(木)に開催されるOracle CloudWorld Tour Tokyoに出展いたします。
昨年Oracle Japan Apps/SaaS Partner Award Innovationを受賞した「Madis」をはじめ、ERP・EPM構築をご検討の皆様にお役立ていただけるサービスをご紹介予定です。ぜひご来場ください。