Oracle Fusion Cloud Manufacturing についてまとめてみた

今回はOracle Fusion Cloud の製造の管理を行うための製品である Oracle Fusion Cloud Manufacturing の機能について解説します。5回にわたって、以下の流れで進めていきます。
第1回 Oracle Fusion Cloud Manufacturingの概要
第2回 業務の流れ
第3回 作業定義について
第4回 作業実行について
第5回 他モジュールおよび他システムとの連携

はじめに: Oracle Fusion Cloud Manufacturingとは

製造業において、製品の定義や部品表、工場内のリソースや工程の定義など管理しなければならないマスタが存在します。そのうえで、作業指示を出したり作業指示に対しての工程進捗や使用部材および作業時間などの実績管理をしたりする必要があります。最終的にはこれらのデータに対して、原価の計算を行い、ERPの要である財務会計に連携しなければなりません。それだけでなく、蓄積されたデータをいかに分析のために活用できるかも昨今のシステム導入においてのポイントになっています。
Oracle 社が提供しているERPのクラウド製品であるOracle Fusion CloudManufacturing(略称:MFG)は、製造関連のマスタを管理するためのモジュール※1『作業定義』(モジュール名の略称:WIS)と製造の実績を記録および確認するためのモジュール『作業実行』(モジュール名の略称:WIE)から構成されているため、製造の管理を行うために必要な機能が備わっています。
※1 モジュール:機能群
さらに、Oracle Fusion CloudはERPパッケージの強みでもある財務会計の機能との連携も実装されているため整合性が取りやすく、原価の計算を行ったうえで仕訳の作成も同時に行うことができます。また、蓄積されたデータを分析に活かすためのBIツールであるOracle BI Publisher 機能にもOracleFusion Cloud Manufacturingで登録したデータを使って帳票やダッシュボードを出力することができます。

画像1. Oracle Fusion Cloud Manufacturingの主な機能

製造においてのOracle Fusion Cloud Manufacturing

ここまではOracle Fusion Cloudの概要やできることを説明しました。実装する際、どうしても業種や製造体系などを気にしなければなりません。製造体系によって管理しなければならない工程や製品の考え方も異なるため、Oracle Fusion Cloud Manufacturingでは製造の管理を組立型とプロセス型に分けています。
組立型では、機械や電化製品の組み立てを工順に従って各工程で出来上がる半製品や製品を管理することができます。
プロセス型では、化学品や食品などを製造する際に発生する副産物や廃棄物も一緒に管理することができます。また、各工程で歩留を考慮して想定される完成品の数量に対して必要な材料の数量を把握することも可能です。
工場によってはどちらの設定も適用して実装することも可能になっています。場合によっては特定の工程だけを外注することも可能です。
ケースとして対応した実績がございます。もう少し実用的なお話をしますと、Oracle Fusion Cloud Manufacturingを導入するにあたり、受注に対して、紐づいての製品の製造ができないかというご質問をよくいただいております。

表1. 組立型とプロセス型の比較
上記でも記載している通り、製品に対してのロットやシリアル番号管理も実装できまして、さらにロットにつきましては食品で使用される消費期限日(失効日)をロット単位で付与することができますので、在庫管理する際にも便利な付属情報として管理することができます。

画像2. 完成品の管理粒度

少し実用的なお話をいたします。Oracle Fusion Cloud Manufacturingを導入する際、受注時に紐づいての製品の製造ができないかというご質問をよくいただいております。生産形態によっては、完成品を在庫として管理する量産品や特定の顧客に対しての一品物の製造である受注品に分けることができるのですが、それぞれのケースにおいて、Oracle Fusion Cloud Manufacturingを利用して製造の管理を行うことも可能です。受注品の場合ですと、具体的にはプロジェクト管理を使い、プロジェクト単位でかかる原価を積み上げることで、まとめて売り上げの請求する際に合計の原価として計上することが可能になっています。もし、ユースケースが製造だけでなく、その後に搬送や設置などの作業も伴う場合、製造以外のタスクについてもプロジェクト管理のモジュールで把握することができます。(今回は製造モジュールの紹介のためプロジェクト管理の詳細機能については省略します。)

表2. 量産品と受注品

Oracle Fusion Cloud内での立ち位置

Oracle Fusion Cloud Manufacturingの機能概要について述べたなかでお気づきの方もいるかと思いますが、SCM領域の他のモジュールと密に連携していることがわかります。
製品の作業定義を行う前に、製品情報管理モジュール(PLM)で品目の定義や構成との連携を行いますし、作業オーダーの作成では手動のみならず、販売オーダーからの自動生成やサプライチェーンプランニングのアウトプットとして作業オーダーが生成されることもあります。
さらに作業を開始後、資材の払出で在庫管理モジュール(INV)、外注加工があれば調達モジュール(PRC)との連携も行われます。最後に原価を計算するために原価会計モジュール(CST)との関係もあるため、製造モジュール(MFG)を使っている人のみならず、ビジネス全体の流れを把握するうえでも大事な機能になっています。
以下の図にて他の機能群との関係性をまとめております。※2

画像3. Oracle Fusion Cloud Manufacturingの関連モジュール

また、Oracle Fusion Cloud内だけでなく、外部からのデータ取込もAPIを用いたり、すでに用意されているテンプレートでの取込であったりと、要件に合わせたやり方で連携ができるため、製造実行システム(MES)やIoT機器からのデータ取込でOracle Fusion Cloud Manufacturingを通じて会計データの作成までの一気通貫で管理が可能になります。詳細については、第5回の記事で説明する予定です。

今回はOracle Fusion Cloud Manufacturingの概要についてご紹介しました。
次回は、業務に沿っての使用の流れをご紹介する予定です。ADX ConsultingではOracle Fusion Cloudの導入支援を行っております。
導入を検討されている方やERPについて気になった方がいらっしゃいましたら、機能紹介も行っておりますので、以下のフォームからお気軽にお問い合わせください

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